バイトで得た悟り

学生時代のアルバイトの中で、自分の人生に大きな影響を与えたものが一つあります。
 それは、道路警備の仕事で、特に『夜間の通行止』という担当に配属された時が一番強烈なものだったことを覚えています。
 どんなことをするか?
 人通りも車通りもほとんどないような路上に立ち、
 もし車が近づいてきたら、『この先は工事中なので、右か左かで迂回してください』ということを伝える仕事です。
 やることがほとんどないから「楽」、そう考える人はほとんどいないと思いますが、実際にやってみると想像以上の苦痛です。
 人間は暇に対する耐性はない生き物なのだということをすぐに気づかせてくれます。
 
 8時間も続く暇との戦い。

 この苦痛に抗うため、私がとった行動は、ただただ立って過ごすだけの時間を有意義なものにするという試みでした。
 例えば、頭の中で、作曲や作詞、俳句やお笑いのネタ作り、演劇の台本作りなど、考え得るあらゆる創作活動を行う場としたのでした。
 メモにすることもできない状態だったので、着想しては、反復し、思いついては反復しを繰り返し、なんとかその創作活動の結果を記録しようと
 必死でした。
 
 その結果、何が起こったかというと、当初は8時間は、永遠と思えるほどに長く感じたのが、
 回数を重ねる毎に、不思議と6時間、4時間、最終的には、「え?もう終わり?」と思えるまでになったのです。 

 この体験で得た悟りは、自分の人生にとっては非常に強い影響を与えるもので、集約すると以下の2点になります。
 『どんな状況であっても、心の中を支配されることはない』
 『暇は辛い。暇でないだけ有難く、そして幸せだ』
 『楽しければ、集中していれば、時間が経つのは驚くほど早い』

 この二つの悟りがあって、社会人になった後の様々な困難も乗り越えることができたのではないかと今でも思います。

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