本日、議会にてそのご挨拶をさせていただきました。
私自身、この初心を忘れずにという意味で、ここに全文を記載いたします。
長文ではありますが、今後の北海道に対し、民泊がどうあるべきかを精一杯伝えたいと思ってますので、
ご覧いただけますと幸いです。
(以下、本文)
2月10日、北海道民泊観光協会の理事長を拝命しました。
北海道で最初に民泊事業を行った一人として、悪戦苦闘の中、これまで培ってきたことを活かし、民泊が観光業全体にとってより価値のある存在となれるよう努力して参りたいと思います。
前理事長、TAKE武山会長は、業界全体の発展のために尽力してくださった仲間であり、報道などですでにご承知の通り倒産となってしまったことは、痛恨の極みです。また、復活して力強く大活躍される姿を心待ちにしていきたいと思っております。
さて、思い返すこと1年前。
我々を取り巻く環境は、オリンピック開催、マラソン競技札幌会場による特需など、そこで大挙して訪れる旅行者様をいかにお迎えするか?という課題から一変し、コロナ禍一色に塗り替えられました。
それでも20年2月には「オリンピックが無くなることなどないだろう」という淡い期待もありましたが、3月には脆く崩れ去りました。
この北海道は、全国でも最も早くにその大打撃を被り、第一波、第二波においても全国ニュースの先陣を切ることとなりました。
今でも全国的には「ススキノ」が危険なのであって「中洲」ではないのです。
陸続きではないという立地条件に加え、Gotoトラベルキャンペーンからの除外、年末年始の大寒波など、北海道を取り巻く環境は、以前と大変厳しいものです。
そのような中にあっても、先人たちがこの北海道を発展させるための努力を惜しみなく続けてきたおかげで、多くの人から旅行先だけでなく移住先としても人気の高い北海道が形作られてきたのであると思います。
我々民泊業界も、その恩恵があってここまでの発展があることは忘れてはならないと考えています。
当協会も、民泊を通じて北海道の観光に対して貢献できることをますます追求し、存在感を示し、民泊の素晴らしさを理解してもらえるように努力して参りたいと思います。
最後にもう一つだけ。
インバウンドはもう期待しないとか、民泊はオワコンとか、民泊やらなくてよかったとか、
そういう声も増えてきてますが、それは明確に違う!
と声を大にして言わせて頂きたい!
今、コロナ禍の中、いつインバウンドが戻るのかは誰にも分かりません。
とはいえ、これが3年続くとは思えない。
この後、私たちの人生は5年10年20年と続くし、社会も世界もずっと続く中、この2年は余りにも短期的な視点に過ぎません。
長期的な視点に立てば、インバウンド市場は、確実な成長産業です。
もう一度言います。確実な成長産業です。
他に確実な成長産業なんて何があるでしょうか。
自動車?不動産?人材?バイオ?
どれも「確実」とは言うには心もとないでしょう。
主な理由は、国内の人口減少です。
これにより、市場の縮小だけでなく労働人口の減少も同時に深刻化していくことは確実に予期できる未来であり、今すでに起きている現実でもあるのです。
では、初めて国内総人口の減少が記録されたのはいつでしょうか。
今から5年前、2016年です。
2010年から2015年の5年間で94万人が減少しました。
今後はどうなるか?
2030年までに1500万人が減ります。
多くの方々にとっては、あまりピンとくる数字ではないかもしれません。
北海道の総人口は520万、札幌市で200万、九州エリアの総人口が1,400万。
つまり、この日本から九州の人口が一つ分消滅します。
たった10年足らずで、です。
コロナ禍前でさえ、労働人口は不足していました。
人の奪い合いです。
それを受けて、入管法が改正されたのです。外国人労働者をもっと受け入れよう、と。
これについては、移民によって文化が破壊されるのではないか?など、様々な意見・議論がありました。
2019年4月に実際にスタートしてみて、どうなったのか?
このルールを利用して日本に来た外国人は、わずか4,000人です。
もはや、働く場所として日本は魅力を失っているのです。
東南アジアの働き手を求めてるのは日本だけではありません。
すでに韓国は労働者にとって魅力的な制度を取り入れており、日本よりも良い評判を獲得しています。
今後はヨーロッパ諸国も同様に狙ってきます。
元から移民受け入れには慣れてますので、こちらも強力なライバルとなりそうです。
日本の今の制度、今のマインドでは期待はできません。
しかしながら、日本が働く場所として魅力がないにしても、旅行先としては、今後、益々人気が高まってきます。
いや、そうしなければならないのです。
観光立国は、単なるお題目ではなく、国家存亡をかけた一大事なのです。
自動車産業が国家を支えた時代は、もはや過去形なのだ、と。(もし、これを読んでいる方に自動車産業関係者の方がいらっしゃる場合はすみません)
だから国は総力を上げてインバウンド市場を盛り上げようとします。
その時、北海道において、その担い手としてその責任を受け持つのは我々に他なりません。
我々北海道の民泊事業者がこのコロナ禍をいかに乗り越え、そして、このピンチをいかにチャンスに転じてきたのか、
それを日本全国が注目しています。
最も早くにピンチを味わったからこそ、最も激しく打撃を受けたからこそ、それを日本全国に発信し、激励していく資格、そしてその使命があるのです。
私たちが、この北海道・この日本にとって大きく貢献していくことを通じて、希望を失った全国の人たちを励ましていく。これこそが、いま最も重要なことだと思っています。
私一人なら、難しい。
ですが、この協会にいらっしゃるこれだけ多くの素晴らしい方々と一緒であれば、必ず実現できると信じています。
とはいえ、まだまだこの協会のことについては、私もイチから学ばせていただく立場です。
これから皆様に多くをご教示頂きながら、共に目指すべき方向に邁進し、使命を果たすべく努力して参りたいと思います。