社長ブログ

「ローリスク・ハイリターンな民泊」は、まだ存在するのか?

「ハイリスク・ハイリターン」
「ローリスク・ローリターン」

これは投資や事業における、ある意味で世の常です。

大きなリターンを得ようと思えば、それなりのリスクを取らなければならない。
逆に、リスクを抑えれば、得られるリターンも小さくなる。

ところが、民泊という事業には、過去に何度か「ローリスク・ハイリターン」に見える時代がありました。

そして今も、すべてではありませんが、一定の条件を満たす案件には「ローリスク・ハイリターン」と呼べるものが存在します。

では、それはどのような案件なのでしょうか。

2018年以前の「ローリスク・ハイリターン」

民泊の黎明期、特に2018年以前には、今から考えると驚くほど高い収益性を持つ物件が数多くありました。

競合施設は少なく、インバウンド需要は増加を続けている。

物件を借りて家具や家電を入れ、OTAに掲載すると、家賃を大きく上回る売上を生み出す。

初期投資もそれほど大きくない。

表面的に見れば、まさに「ローリスク・ハイリターン」です。

しかし、当時はいわゆる「闇民泊」の時代でもありました。

つまり、「遵法性」という非常に大きなリスクが存在していた。

このリスクをどの程度重く見るかによって、当時の民泊事業の評価は大きく変わります。

「行政から指導を受けるかもしれない」「突然営業できなくなるかもしれない」というリスクを重大だと考える人にとって、当時の民泊は決してローリスクではありません。

一方で、そのリスクをあまり恐れない人にとっては、ローリスク・ハイリターンに見えた。

結局のところ、「ローリスク・ハイリターン」という言葉自体が、その人が何をリスクと捉えるのかによって変わるのだと思います。

民泊新法によって、本当のローリスク・ハイリターンが生まれた

2018年に住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されました。

これによって、一定のルールの中で合法的に民泊を運営できる環境が整いました。

それまで存在していた「遵法性」という大きなリスクが低下した一方、まだ競合施設はそれほど多くない。

この時期は、かなり本当の意味に近い「ローリスク・ハイリターン」の市場だったと思います。

当然、この状態が永遠に続くわけではありません。

儲かる市場には参入者が増えます。

施設数が増え、不動産価格や賃料も上昇し、徐々にリターンが低下していく。

民泊もいずれ「ローリスク・ローリターン」の成熟した事業へ向かっていくはずでした。

ところが、その前にコロナがやってきました。

そして、すべてを破壊しました。

コロナ後、再びローリスク・ハイリターンが生まれた

コロナ禍ではインバウンド需要がほぼ消滅し、多くの民泊施設が撤退しました。

私たちも含め、この時期を乗り越えた事業者にとっては本当に厳しい数年間でした。

しかし、その後、状況は一変します。

施設数が大幅に減少した状態で、インバウンド需要が急激に戻ってきたからです。

需要は戻った。
でも、供給は戻っていない。

この需給ギャップによって、再び民泊市場に大きな収益機会が生まれました。

ある意味では、「コロナを耐えた人へのご褒美」のような期間だったと思います。

しかし、それも永遠には続きません。

当然ながら、高い収益性を見て新しいプレイヤーが参入します。

施設数は徐々に増え、競争も激しくなってきました。

つまり現在も、民泊市場は再び、

「ローリスク・ハイリターン」から
「ローリスク・ローリターン」へ

徐々に移行している最中なのだと思います。

ただし、昔より「負けにくい事業」になった

リターンが下がっているというと、民泊の魅力がなくなったように聞こえるかもしれません。

私はそうは思っていません。

むしろ、リスクもかなり下がっています。

理由は単純です。

業界全体に知見とデータが蓄積されてきたからです。

どのエリアが強いのか。

どんな立地なら稼働するのか。

何㎡くらい必要なのか。

何人泊まれる物件が強いのか。

どんな間取りが支持されるのか。

どの程度のADR・稼働率が期待できるのか。

そして、その物件をいくらで仕入れれば事業として成立するのか。

以前は「やってみなければ分からない」ことが多かった。

今は、経験のある事業者であれば、運営開始前の段階でかなり高い精度で予測できます。

つまりリターンは少しずつ正常化している一方で、「大きく外すリスク」も小さくなっている。

これは業界が成熟してきた証拠でもあります。

「思ったより儲からないんですね」

最近、新たに民泊事業への参入を検討している方と話していて感じることがあります。

「民泊=ローリスク・ハイリターン」

というイメージを持っている方が、意外と多いのです。

ところが、実際に物件を見て、家賃や取得価格、内装費、OTA手数料、清掃費、運営費などを入れて事業計画を作ってみる。

すると、

「あれ? そんなもんなのか?」

という反応をされることがあります。

でも、ある意味では当然です。

市場が成熟すれば、

ハイリスク・ハイリターンか、ローリスク・ローリターン。

基本的には、他の事業や投資と同じ世界に近づいていきます。

民泊だけが永遠に「簡単に、低リスクで、大きく儲かる」わけがありません。

それでも、ローリスク・ハイリターン案件は存在する

ただ、ここが面白いところです。

現在でも、

「これはローリスク・ハイリターンだな」

と思う案件に出会うことがあります。

私たちは民泊・無人ホテルの運営を専門としているため、日々かなり多くの物件や事業計画を見ています。

その中で、ローリスク・ハイリターンと言える案件は、それほど頻繁にあるわけではありません。

しかし、「極めて稀」というほどでもありません。

一定の頻度で存在します。

逆もあります。

ハイリスク・ローリターン。

これは絶対に避けなければならない案件ですが、意外と少なくありません。

特に「物件を賃貸して民泊を始めたい」というケースでは、条件設定によってはこの状態に陥りやすいと感じています。

高い家賃を固定費として背負い、初期投資も行い、撤退時には原状回復費まで発生する。

それなのに、得られる利益はそれほど大きくない。

これはリスクとリターンが完全に逆転しています。

では、今の時代の「ローリスク・ハイリターン」とは何か?

ここまで書くと、

「じゃあ、どういう物件ならローリスク・ハイリターンなの?」

と思われるかもしれません。

実は、単純に「札幌のこのエリアならOK」「この広さならOK」という話ではありません。

立地、取得方法、物件価格、賃料、用途地域、許認可、建物用途、面積、間取り、収容人数、競合環境、想定ADR、清掃効率、出口戦略……。

いくつもの条件の組み合わせによって決まります。

そして何より重要なのは、

「どのくらい儲かるか」だけではなく、「どこにリスクがあるのか」を同時に見ること。

だと思っています。

2018年以前の民泊がそうだったように、表面的な利回りだけを見れば「ローリスク・ハイリターン」に見えても、別の場所に巨大なリスクが隠れていることがあります。

逆に、一見すると普通の案件でも、リスク要因を一つずつ潰していくことで、非常に魅力的な投資になることもあります。

私たちが物件を見るときも、

「売上はいくらになるか?」

だけではなく、

「何が起きたら、この事業計画が崩れるのか?」

をかなり重視しています。

その両方を見て初めて、その物件の本当のリスクとリターンが見えてきます。

今でも「ローリスク・ハイリターン」と呼べる民泊案件は存在します。

ただし、それは「民泊だから儲かる」のではありません。

その物件、その立地、その条件だから成立する。

そんな時代になったのだと思います。

もし具体的に検討されている物件があり、

「これは民泊としてどうなのか?」
「リスクとリターンをどう評価すべきなのか?」

といったことにご興味があれば、個別の案件をベースにお話しすることもできます。

お気軽にご相談ください。

最近の記事

MASSIVE に行こう。