民泊業界に、再び「規制」という大きな波が来ようとしています。
最近の報道では、自治体が住宅宿泊事業の営業可能日を実質的に「0日」とする規制についても、国が一定の条件のもとで容認する方向性が示されています。
豊島区や墨田区などでも規制強化の動きがあり、大阪でも民泊を取り巻く環境は大きく変わりました。
民泊事業者にとって「規制リスク」は、間違いなく以前より高まっています。
では、私たちはこの状況をどう考えているのか。
結論から言えば、
私はこの規制強化を、必ずしも悪いことだとは思っていません。
むしろ、これまで真面目に民泊という事業に向き合ってきた会社にとって、大きなチャンスになる可能性があると思っています。
民泊は「ゲスト」と「ホスト」だけの事業ではない
MASSIVE SAPPOROは、長年この事業をやってきました。
そのなかで、一貫して大切にしてきたことがあります。
ゲスト様に真剣に向き合う。
ホスト様に真剣に向き合う。
そして、近隣の皆様にも真剣に向き合う。
この三者のどれか一つだけを大切にすればいいとは、一度も考えたことがありません。
ゲスト様に喜んでいただいても、近隣の方が迷惑していたら、それは良い民泊ではない。
ホスト様に高い収益を還元できても、地域との関係が壊れてしまえば、長く続く事業にはならない。
逆に、ルールを守ることばかりに意識が向き、ゲスト様に良い宿泊体験を提供できなければ、そもそも宿泊事業として成立しません。
だから私たちは、この三者すべてに向き合ってきました。
決して華やかな仕事ばかりではありません。
クレームがあれば現場へ行く。
ゴミの問題があれば対応する。
騒音があれば原因を考える。
オーナー様と話し、ゲスト様と話し、時には近隣の方に頭を下げる。
一つひとつは、とても地味な仕事です。
それを長年、地道に、泥臭くやってきました。
だからこそ、今のMASSIVE SAPPOROがあると思っています。
「儲かるから民泊をやっている」わけではない
私たちは、民泊が流行っているからこの仕事を始めたわけではありません。
「民泊は儲かるらしい」
そんな理由だけで続けてきたわけでもありません。
私自身、ずっと思っていることがあります。
民泊は、日本を救う一つの救世主になり得る。
少し大げさに聞こえるかもしれません。
でも、日本には人口減少という巨大な問題があります。
空き家が増え、不動産が余り、地方では地域経済そのものが縮小していく。
一方で、日本には世界中から人を惹きつける観光資源があります。
その日本を訪れる外国人が増え、彼らが地域に泊まり、食事をし、買い物をし、地域にお金を落としてくれる。
これから人口が減少していく日本にとって、観光・インバウンドは数少ない成長産業の一つだと思っています。
そして民泊は、その重要なインフラになり得ます。
だからこそ、目先の利益だけではなく、
この産業を適切に育てていかなければならない。
そんな思いで、この仕事をやってきました。
東京の同業者から相談を受けて驚いたこと
以前、東京のある民泊事業者から相談を受けたことがあります。
詳細を書くことはできませんが、話を聞いていて、私はかなり驚きました。
近隣住民への対応が、あまりにも杜撰だったからです。
騒音やゴミなど、民泊では近隣とのトラブルが起こる可能性があります。
問題が起きること自体を完全になくすことは難しい。
大事なのは、その後です。
どれだけ早く対応するか。
原因を調べるか。
再発防止策を講じるか。
そして、迷惑をかけてしまった近隣の方に、きちんと向き合うか。
私たちは、それが当たり前だと思ってやってきました。
ところが、その話を聞いたとき、
「ああ、だから規制が厳しくなるんだ」
と妙に納得したことを覚えています。
豊島区や墨田区などで民泊規制が強化されていく背景にも、当然それなりの理由があります。
行政が突然、理由もなく民泊を規制したくなったわけではない。
地域から苦情が出る。
トラブルが続く。
行政に相談が寄せられる。
それでも改善されない。
その積み重ねの先に、規制があります。
一方で、事業者側の気持ちも、まったく理解できないわけではありません。
周囲の事業者がルールを守らない。
近隣対応にもコストをかけない。
それでも同じように営業できている。
そんな環境のなかで、
「自分だけ真面目にやったら損じゃないか」
と思ってしまう気持ちも、わからないでもありません。
しかし、その積み重ねの結果として業界全体の信用が失われれば、最後は全員が規制されることになります。
典型的な「悪貨が良貨を駆逐する」状態です。
規制は、真面目な事業者にとって本当に「リスク」なのか
だから私は、今回の規制強化について少し違う見方をしています。
短期的には、間違いなくリスクです。
これまで営業できた場所で営業できなくなる可能性もある。
新規参入できるエリアが狭まる可能性もある。
事業者に求められる管理水準も、今後さらに高くなるでしょう。
しかし、中長期で見たとき、それは本当にすべての民泊事業者にとってマイナスなのでしょうか。
私はそうは思いません。
むしろ、
「誰でもできる民泊」の時代が終わる。
ということなのではないかと思っています。
規制が緩く、市場が急成長しているときは、参入すること自体に大きな価値があります。
しかし、規制が厳しくなれば違います。
法令を理解していること。
行政との折衝ができること。
消防や建築について理解していること。
ゲスト対応ができること。
オーナーに収益を返せること。
清掃品質を維持できること。
騒音やゴミなどの問題に対応できること。
緊急時に現場へ駆けつけられること。
そして何より、
地域と共存できること。
こうした能力が求められるようになります。
これは一朝一夕にはつくれません。
最後に勝敗を分けるのは「分厚い蓄積」
これから民泊業界の規制がどこまで厳しくなるのかは、まだわかりません。
しかし、一つ確信していることがあります。
規制強化を「ピンチ」にする会社と、「チャンス」にする会社に分かれるということです。
そして、その勝敗を分けるのは、
それまで何を積み上げてきたか。
だと思っています。
何百、何千というゲスト対応。
オーナー様との交渉。
近隣クレームへの対応。
行政とのやり取り。
消防、建築、保健所との協議。
清掃の仕組み。
緊急時の対応。
スタッフ教育。
収益データ。
失敗した物件。
成功した物件。
その一つひとつは小さな経験かもしれません。
しかし、10年単位で積み上げれば、それは簡単には真似できない「分厚い蓄積」になります。
規制が緩い世界では、その差は見えにくい。
でも、規制が厳しくなればなるほど、その差が表面化してきます。
昨日今日この業界に入ってきた会社と、長年、現場で泥臭く問題を解決してきた会社との差が出てくる。
だから私たちは、今回の規制強化を悲観していません。
もちろん、業界全体として行き過ぎた規制にならないよう、行政とも対話していく必要があります。
しかし同時に、民泊という産業が社会から認められ、長期的に成長していくためには、一定の淘汰も必要なのだと思います。
規制強化をチャンスにするのか。
それとも、ピンチにするのか。
それを決めるのは、規制が始まってから何をするかではありません。
規制が始まるまでに、何を積み上げてきたかです。
私たちは、ゲスト様、ホスト様、そして近隣の皆様。
そのすべてに真剣に向き合い、地道に、泥臭く、この仕事を続けてきました。
だからこそ、この変化をチャンスに変えられる。
私はそう思っています。
