プロローグ
弊社が開業支援をさせていただいた施設のストーリーをご紹介する連載企画。今回は第1回として札幌市中央区にある宿泊施設のオーナーであるK様のインタビューをご紹介します。

弊社代表川村との衝撃的な出会いを経て、シェアハウスとして開業。その後民泊へ改装し、高評価をいただいております。特に清潔感に関してのレビューが多く、それには理由がありました。インタビューを通して分かった高評価の秘密「当事者目線」についても詳しくお伝えします。
きっかけ

── まずはじめに、民泊を始めようと思ったきっかけを教えてください。元はこちらにお住まいだったんですよね。
そうです。この家から引っ越すことになったので、ここを誰かに使ってもらいたいなと思って。住宅として賃貸に出そうと思っていたんですが、普通に借りていただくにはちょっと難しい物件だったんですよね。それで悩んでいた時にたまたまお世話になっていた不動産屋さんが(Massive代表の)川村さんを紹介してくださったんです。
初めてお会いした当時は、まだMassiveさんは民泊をやっていなかったのでシェアハウスを勧めていただいて。川村さんがすごく熱っぽく語っていて、その熱量に一緒に居た夫がとても可能性を感じたらしいのです。
「なんか応援したいよね、ああいう人。やってみない?」って言われて、私も「そうだね、いいよ」って感じでやり始めたんです。
── 始まりはシェアハウスからなんですね。シェアハウスでスタートして、その後、民泊の事業がスタートする際には間取りも変わっているんですか?
そうですね、最初はシェアハウスだから個室にしないと!と思って、小さいお部屋をいくつも作ったんですよね。その後民泊になる時も、最初はそのままの間取りでやっていたんですけど、やっぱり使いづらくて。マックスだと15人も入れるんですがリビングが狭いので、皆さんが集まって食事をとることができない間取りだったんです。
そんな状態でも結構泊まってくださる方がいらしたから、2020年にもう変えちゃおうということで。
── それで今の間取りに。

そうですね。でも実は今と比べると評価はうんと低かったんですよ。でもMassiveさんが頑張ってお客さんを入れてくださって、十分稼がせてくれたからリフォームの出費も惜しくなかったんです。
やっぱり一番最初に考えたのは15人が一堂に会して食事できる場所が必要だなと思ったから、リビングダイニングは広くしました。
── このダイニングテーブルが結構アイコニックというか、弊社の物件の中でもこうやってずらりと並んで食べることができるダイニングスペースはあまりないですね。
民泊をやらせてもらっててだんだんわかってきたことなんですが、グループ旅行の場合ホテルだと2〜3部屋借りなくてはならないので集まりたい時は誰かの部屋に集合となりますが、全員が一ヵ所に集まる事ができるスペースがあるというのは強味だと思ったんです。
印象的なエピソード

── 次に民泊になる中でのプロセスとかこだわりという点で、何か特に印象に残ったやり取りやエピソードはありますか?
当初、実は私自身が「ここに泊まりたい」とは思えていなかったんですよ。もちろん泊まってもらえたら嬉しいなとは思っていたんですが。
物件的には中古だし、人に自慢できるようなものじゃないっていうのがあったので、泊まりに来てって言うことはあまりなかったんです。
だけどある時、私が民泊をやっているって知った懇意にしてくださっている知り合いから、「広くて多人数も泊まれるんだったら使ってみたい」って言われたんですよね。
正直その時すごくまずいなって思って。
大事な人や知り合いに勧められない物件って何?とハッと思っちゃいまして。
自分は泊まりたくないし、知人にオススメできない物件なんだって。それが自分ではっきり分かった時にすごいショックだったんですよね。自信をもって利用してって言えるような物件にしなくちゃそもそも駄目よねと思って、リフォームを決心しました。
うちの物件は、外国人の方が好まれるような古民家風でもないし、そういった味わいとかはないので、そこをどうカバーしようかと考えた時に、徹底的に清潔感アップを目指そうと思いました。
あとお子さんが来ても飽きないようにとか、大人でもちょっと面白がってくれるような装飾にしてみたり。
── 壁に可愛らしいアートや、コーナーには素敵な置物が飾ってあったりしますね。

あとは綺麗にするってなった時に1番に考えたのがベッドなんですが、当時はホテルリネンではなかったので、割とお手頃なものを買ってきて使っていたら2〜3回のお洗濯で毛玉が出る。それも見栄え悪いなと思ってて。やっぱりリネンって大事じゃないですか。
── そうですよね。
その時にちょうどMassiveさんからホテルリネンに切り替えませんか?という提案をいただいたのでやってもらったら、「やっぱりこれが良いよね」と自分でも納得。
そうやってだんだんと「自分がこれだったら泊まってもいい」と思えるようなところを目指していきました。
お掃除もいつも清掃員の方がちゃんとやってくださっているんだけども、それでもどうしても小さな不備を見つけてしまうんですね。だからそこの指摘はたくさんさせていただいたんです。するとおかげさまで、とても清潔感があるというレビューが増えました。
そこは評価がすごく高いので良かったなと。清掃会社さんにはいつも色々と応えてくださって感謝しています。
── ありがたいですね。
オーナーも当事者という意識

── Massiveにも色々なオーナー様がいらっしゃって、中には本当に投資目的で、清掃もおまかせで進めるところが多かったりするんです。でもKオーナーは清掃後も来ていただいたり、スリッパの交換などの物品の手配もしていただいてるじゃないですか。(インタビュー当日、フライパンやスリッパの交換をしてくださっていました)
それって最初からそうだったのか、それともこうやっていくうちに、自分ももっと関わっていきたいとモチベーションが変わっていったのでしょうか。
それは途中からですね。清掃については、当初は基本的にもうほぼ丸投げでした。
でもこちらが期待する清掃の精度や品質と、実際に掃除した清掃の方の認識とは、やっぱりどうしたって齟齬が出るんですよね。 それをどうしたらいいかなと思ったときに、掃除しやすい部屋じゃないと駄目よねって思って。それもリフォーム設計時の大きな軸となりました。
なるべく埃がたまるような隅を作らないとか、このソファもだけど何がこぼれても拭けば大丈夫とか、見てすぐに汚れがわかるとか、そういう素材に全部変えました。
── そこがKオーナーのすごいところだなって僕は思ってて。これって例えば僕がオーナーでMassiveに管理を委託してて、そのMassiveが手配している清掃会社さんの不備じゃないですか。
「Massiveさん、ちゃんと見に行ってよ」っていうふうな側面を、K様ご自身の目でしっかり見たいっていう、自分事として捉えていただいてるっていうことだと思うんです。そしていつもすごくありがたいフィードバックをいただいているからこそMassiveとしてもしっかり寄り添っていきたいし、できる限りの希望を叶えたいっていうモチベーションに繋がるんですよね。
そう言ってもらえるなら良かったです。毎回ドキドキしながらクレームを入れていますので。(笑)
フィードバックとして受け取ってくださっているから、その成果として色々なところが良くなっていますし。 Massiveさんと清掃とオーナーという三者とも、やっぱり向上していきたいですよね。私もオーナーとしてやらなくちゃいけないことってあると思っているし。そういうサイクルはきっとMassiveさんだからできたんじゃないかなと。
でも今日顔を見ちゃったから、もうあんまり書けなくなるね。(笑)
(今回インタビュアーの貫地谷とは普段は不備指摘のメールのみでのやり取りだったため、この日初めて貫地谷の顔と名前が一致しました)
── いえいえ、むしろ迅速に対応いたしますので。
── では実際に民泊が始まってみて、それこそ先ほどお話にあったお知り合いとかお友達とか、何か周囲からの反応で印象に残ってることはありますか?
ここをお借りしてお友達とパーティーみたいなことをやることがあるんですね。
その時もすごく好評だし、そこで皆でワーッと集まって楽しんで、民泊という良い使い方を初めて知ったねって感じで。
── この立地で、これだけの人数が1ヶ所で集まってワイワイできるってすごく貴重ですよね
わりと旅行者さんも街中の駅から近いと思ってくださってますよね。女子会とか、子連れでの集まりとか、ちょっと大きいスペースが必要な習い事とか、数時間使うのにも丁度良いスポットですよね。
Massiveの良さとは

── ちょっといやらしい質問で申し訳ないですけど、Massiveでよかったなという点はありますか?…とは言っても、他社さんとの比較も難しいですよね。
民泊をやりたいっていう他の会社さんからのアプローチもあったんですよ。でもそんなにぐらつかないんですよね。十分ここで満足してるし、Massiveさんでやりたいっていうのがあったので。へこたれないじゃないですかMassiveさんってどんな苦境でも。
── それこそコロナもあったり。
軒並み開店休業状態を強いられていたけども、SNSで川村さんの投稿を見ると自分の車を売ったり、自分の生活を縮小してご自身も頑張っていて。それなのにパワーまでは全然衰えてないっていうかね。
今問われてみてふと思ったけど、Massiveさんからそんな不安要素が何も聞こえてこないから、このまま終わっちゃうんじゃないかっていう不安がなくて、やめた方がいいとか全然思わなかったですね。
そういえばスぺマ(※)も使ってくださいましたよね。そうしたら利用してくださる方がいて。何の用途なのかと思ったら、あの時ってコロナになりたてだから家庭でのリモートワークや会議をするのが結構難しかった時期で。
それだったら会議ができるようにプロジェクターをつけたり、リモート会議で使いやすくなるようにテレビモニターを大きくしたりとか。スぺマからヒントを得たっていうのも結構ありますね。
(※スペースマーケット https://www.spacemarket.com/ 現在は受付停止中)
──Kオーナーご自身も、コロナ禍で色々な気付きを得たっていうところもあるということですよね。
そう、だから結構楽しかったですよ。いろいろレビューの反応を見て、子供連れもいると思ったらキッズ用の椅子やベビー用の食器を入れたりとか。あと大人でもボードゲームがあればよかったですってレビューにあったので、いくつか置いておこうとか。そういうのはスぺマのレビューですね。
── そういう歴史があっての今なんですね。
より良くする方法は、長くやらせてくださってその中で得たことばかりですね。
長い付き合いだからこそ分かるMassiveの強み

── 「長くやっていく中で」というお話が出たのですが、長い付き合いだからこそ分かるMassiveの強みとか、長い関係性の中で印象に残ってることなどはありますでしょうか。
そうですね…潮目をちゃんと捉えて示してくれるところですね。
例えばシェアハウスから民泊に変えた時もそうだし、他にも2〜3回は潮目を感じたかもしれない。それはMassiveさんからの色々な雰囲気とかアプローチとかがあって、その提案が乗りやすいんですよ。
── 節目節目でMassiveから提案が来ていたんですね。
そうそう。こちらは素人だからどうしたらより良くなるのかが分からない。でもMassiveさんが持っている様々なノウハウの中から、うちの物件に合った提案をしてくれているのはわかるから、不安にならないし拒否したこともなかったかも。もちろん何でもOKっていうわけじゃないけど、いつもやってみる価値がありそうなことを投げかけてくれていたんです。
だからさっきも話したみたいに、他社にアプローチされても乗り換える気にならなかったんですよね。 簡単に言っちゃえば、それが信頼ということなんでしょうね。
── Massiveの提案には、それなりに何か裏付けを感じたと。
時代をちゃんと読んでいらっしゃる感じはありますね。
川村さんとは、とある不動産屋さんで落ち合ったんだけども、その時にいわゆる会議なんかで使う大きさのホワイトボードを抱えて入ってきて。なんかガタガタバタバタしながら、入るときも普通の幅のドアだから、ボードを縦にしたり横にしたりしてて、後ろの人(川村)が全然見えない。笑
「すいません、遅れてすいません」っていう感じで、私はポカンとしていたと思うんですが、川村さんは早速プレゼンを始めて。
── 衝撃的な出会いのエピソードですね。笑
そうそう、衝撃的な初対面です。あとにも先にも初めてなんですよ私、ホワイトボードを抱えてきた人って。
別に当時でも十分パソコンでプレゼンできますよ。できたはずなんだけど、そうじゃなくて。
── 書いて喋りながら熱意を伝えたいっていう感じだ。 社員からしてもすごい。
夫の「応援しようよ」という言い方も実は私ずっとピンときていなかったんです。でもこの時の一部始終で川村さんの人間性に「応援しようよ」の気持ちが繋がったのだと今は思います。
── 想像はできますね。 今と変わってないなっていう。 僕らもそういうところに惹かれて入社してきたっていう経緯もあるので。やっぱり熱量みたいなのはMassiveの良さだと思います。
でも芯がある、熱いだけじゃなくて。熱いだけだったらそれほど長く持続はできないと思う。
つらそうなところはあんまり私からは見えないけど、ものすごい努力をされてるなっていうのは分かります。だから安心に繋がるんですかね。
民泊をやる方へのメッセージ、今後の展望

── これから物件を活用したいと考えていらっしゃる方へ、この10年の経験があったから言えることだったり、例えばKオーナーが今後他に物件を持つような機会があったときに次はこういうのをやってみたいというのはございますでしょうか?
ごめんね、次の物件とかはあんまり考えてなかった。
これからもこの物件を良くしていきたい。もっとレビューを参考にしながら、ゲストがちょっとでも不満に思ってるところを1個ずつ潰していくのが楽しいっていう感じですね。
あとはもし知り合いが民泊を始めたいって言ったら、喜んで色々アドバイスしたい。
管理会社さんによっては、自分たちが管理を任されてるから自分たちのやり方でやりたいって思うかもしれないけど、だけどやっぱりなるべく関われることには関わった方がいいかな。
Massiveさんはこちらがやったことで何か足りなければ色々教えてくれるし、オススメはしますね。楽しいですよ。
自分が楽しめるかを考えると、自分がするべきことが見えてくるよね。
── そうですよね。クッションカバーも、この時期にはちゃんと変えるってことですよね。(インタビュー時はクリスマスシーズンで、クッションカバーがクリスマス柄に)
そう。終わったらすぐに変えないといけないんだけど。笑
── 次はお正月バージョンで。
── 僕も今日ここに入った時に、クリスマス仕様になっているだけでちょっと楽しかったんですよね。僕らもこういうのやりたいんですが、やっぱりオーナー様の協力があってこそです。
クッションを変えるっていうのはすごく簡単なことなんですよね。 絵柄を変えれば、それだけでクリスマスバージョンになるから。
そういう自分でやる楽しさはありますね。キッチンのリフォームも自分でやったんだけど、やっと完成しました。
── すごくかわいいタイルですね。このカウンターのオープン収納もいい。

元は普通の壁紙なんだけど、ちょっとでもシミがついているとやっぱり印象が悪いですよね。だからどれだけ汚れてもすぐに拭けるものにしようと思って。
コップとかの収納も、こういうすぐに使いたいものが見つからずに探すより、すぐに手に取れる方が良いかなとか。(コップやカトラリー類をカウンター上にオープン収納していました)
── 使いやすさも考えられている、かわいいキッチンですね。
実はシェアハウスを始めた頃にクリーナーさんのお仕事をやっていたのですが、それも掃除しやすい部屋にするぞって思ったきっかけで。
クレームばかり言ってる私も、やっぱりクレームを受けたんですよね。例えば絨毯だと一生懸命掃除機をかけても落ちている髪の毛に気づかない事もあるとか、しっかり掃除してもクレームが来るとこはここだとか分かるようになりました。だから自然と当事者目線になったのかも。
── クリーナーさんに伝えておきますね。すごく嬉しいと思うので。
会社としてしっかりしてらっしゃるんだなと思うんです。
どこまででよしとするかって、個人で基準が大きく違う。それを踏まえた上で、例えば清掃完了の写真だったり、それ自体がチェック行為とか指差し確認になるような色々な仕組みが作られているのがわかります。
── 僕らとしては報われますね。
本当にそこをすごく信頼してるんですよね。
── 今回、K様がこのオーナーインタビューの第1回目ということで、実は私達もどうなるんだろうと緊張があったりしたんですよ。
オーナーが変わればまた目線も変わるから、またきっと違うお話が引き出せますよね。私も他のオーナーさんの苦労や工夫を参考にしたいです。
── Kオーナーの色が出ましたよね。すごい回だったと思います。 愛が溢れているというか。
いいえ、でもよかったです、こういうことでお返しできるんだったら。こういうことでスタッフさんと会う機会ってないじゃないですか。
── なかなかないですよね。実際にこうやってお会いしてお話させていただくことって、前向きで良い事だなって思います。
Massiveさんは自分たちの仕事に誇りを持っているから、オーナーさんに会うのが怖くないんだろうなっていうのはありますね。
だから、どんどん会っていいと思います。その方がオーナーさんも安心すると思います。あとすごくみんなここで楽しくお仕事やってくださってる会社だなって。楽しくやってるのが一番よね。いい会社だなと思います。どんどん良くなっていってるんだなって。
── 嬉しいですね。 そういうふうに評価していただいてるっていうのは。
川村さんも雰囲気作りが上手いんだろうけども、きっと川村さんだけの力じゃなくて今どきの若い人が本当に楽しんで仕事をしてるんだなっていうのが伝わるから、だからそれが信頼に繋がるんですよ。
オーナーさんだって、日頃伝えられない感謝とかいっぱいあるし、どんどんオーナーさんのところに行けばいいと思うよ。
本当は清掃会社さんにもすごくお礼したいんだけど、お礼の用件だけでメールってできないじゃないですか。そういう事を言う機会がなかなかないから、会いに来てくれたら嬉しい。そうしたらきっと望んでいることや足りないところなんかのフィードバックも来たりすると思うし。
とにかく良いことも悪いことも、会話して時間をかけて揉んでいくのがいいんじゃないかなと思いますよね。
── 本日は貴重なお話をどうもありがとうございました!
おわりに

連載企画の第一回目は、アップデートをし続けるKオーナーとの対談をお届けしました。
今ではとても素敵な場所なのに、最初はご自身が泊まりたいと思えなかったというのは驚きでした。コロナ禍も経験し、苦楽を共にしながら10年間並走してきたK様とMassive。
オーナーとして積極的に関わっていくスタンスをとりながら、大変さよりもそれ以上に楽しんでいらっしゃる様子はとても印象的でしたし、私達としても大変勉強になりました。
さて、次回はどのようなお話をお届けできるのでしょうか。お楽しみに!