7年前のある日、私が中学生の頃に通っていた塾の先生から一本の電話をいただきました。
「母子家庭で育つ中学生たちを激励してもらえないか?」という依頼でした。
正直、最初は迷いました。
自分にそんなことができるのか? 偉そうに語る資格があるのか?
でも、思い返せば私自身も何かを乗り越えながら生きてきた一人です。
だから、その日、私はこう話しました。
「母子家庭を言い訳にしてはいけない。
私は母子家庭で育ちながら大成功した経営者をたくさん知っている。
逆に、裕福な家庭に生まれても不幸せな人生を歩んでいる人もいる。
私自身、中学時代は部活では補欠で、クラスでも人気者じゃなかった。
でも、努力で運命を切り拓いた。
だから、環境を言い訳にしてはならない。
いつか、その苦しさが“勝利の原因”だったと胸を張って言える日が来る。」
その出来事もすっかり忘れていた今年、久しぶりにその塾の先生から電話がありました。
「川村くん、あの時励ました子、どうなったと思う?
実は3人兄弟なんだけどね、みんな成績優秀で、高校・専門学校・大学を特待生で通ってるんだよ。」
電話口で、しばらく言葉が出ませんでした。
7年前に放ったたった数分の言葉が、誰かの人生を変えることがあるのだと知り、
胸の奥が熱くなりました。
同時に、私は自分に問いかけました。
「最近の自分は、外部環境に依存していないか?」と。
円安だから、インバウンドだから、人手不足だから――
経営の現場では、どうしても“外のせい”にしたくなる瞬間があります。
でも、それでは中学生たちに伝えたあの言葉が嘘になってしまう。
今こそ、外部環境に左右されない心意気を持たなければ。
環境のせいにしない覚悟こそ、人生を切り拓く力になる。
それを、あの子たちがもう一度思い出させてくれたのです。
言葉は、いつか時を越えて、自分自身を励ますために返ってくる。
