Ep1 準備運動編
私が結婚したのは、2016年夏のことでした。
それ以来、何度となく「家を買いたい」という嫁からの要望は、
数カ月に一度のペースで私に伝えられることとなりました。
私自身、不動産業界には15年以上も携わる身として、
「持ち家探し」は、常に夫人主導であることは、常識として認識していたものの、
いざ、当事者になってみると「意外とグイグイくるな」と驚きを隠せないものがありました。
また、理想の家についての議論では、両者のギャップは予想以上に大きく、
私自身が不動産のプロであることは、家庭では無意味なものであるようにも感じました。
ですが、議論を重ねると、建物やエリアについて少しずつコンセンサスが醸成されていき、
具体的に物件探しを行うことにもストレスがなくなっていった感じがありました。
そんな中、2017年2月、お互いが、「これやヤバい」と意見が完全一致した物件が見つかりました。
そして、それを購入するため、複数の金融機関への融資の打診をしたのですが、
恥ずかしながら3行ともダメという結果になってしまいました。
理由としてこっそり教えられたのは、私自身が所有している海外不動産の存在が、
私の信用力を大きく落としているということでした。
まさか、こんなことで足を引っ張られるとは、そう悔しい思いをしたことを覚えています。
仕方なく「これやヤバい」と言わしめた物件は、私が東京から札幌に転勤するという親友ファミリーに紹介し、
「確かにヤバい」と気に入った彼が、プロジェクトXとしか言いようのない無茶なスケジュール感の中、無事に購入を果たしたのでした。
私は、この経験から、「プライベートでの家探し、転んでもタダでは起きない、仕事につなげてやろうホトトギス」という座右の銘を生み出し、
今もこの教訓は活かされているのでした。