民泊の原点を富山に見た
富山市内の閑静な住宅街に佇む、築70年の古い住宅。ここは、私がairbnbで見つけた一風変わった民泊です。この住宅には現在80歳の家主が住んでおり、その住まいの一部をゲストに提供しています。家主が民泊を始めたのは、5年前のこと。日本がオリンピックを控え、宿泊施設が不足しているという国の呼びかけに応じ、勇気を出してこの新しい挑戦を始めました。
ゲストのほとんどは外国人です。家主は翻訳機を使いながら、コミュニケーションを楽しんでいる様子でした。「言葉は違うけれど、心は通じる」と笑顔で語る彼女の姿には、とても感動させられました。大きすぎる家を活用したいというニーズは多くの人に共通するものですが、実際に自らがゲストと接客しようと考える人は少なく、特に高齢者にとってはなおさらです。その中で、この家主が見せた積極的な姿勢とホスピタリティには、深く心を打たれました。
宿泊業界は人手不足という深刻な問題を抱えていますが、一方で、大きな家で一人暮らしをしている高齢者も多いのが現実です。もしその一人ひとりが観光の担い手として活動できるのであれば、日本の観光力はさらに魅力的なものになるでしょう。家主のような方々が増えれば、訪れる観光客にも温かいおもてなしが提供され、日本全体が一つの大きなホスピタリティを持つ国になることができるかもしれません。
私が行っている事業は無人ホテルやバケーションレンタルの運営ですが、富山で見たこの民泊のあり方には深く共感しています。人と人とが直接触れ合い、心を通わせる宿泊の形は、やはり特別なものがあります。私自身、このような形の民泊がもっと広がるよう、少しでも力になりたいと強く感じました。
このように、宿泊業の未来には多くの可能性が秘められています。高齢者が持つ経験や知識、そして人を迎える温かさが、これからの観光業を支える大きな力となることを願っています。富山の一角で見た民泊は、その未来を示す一つの素晴らしい例であり、これからの取り組みにおいても大切にしていきたいと考えています。