民泊・無人ホテル事業に関するさまざまな情報を連載形式で発信する『川村コラム』。
今回のテーマは「各地の無人ホテル条例」。最後までお付き合いいただければ幸いです!
ザルから鉄壁まで、各地のルール
「無人ホテル」と一言で言えど、民泊は正式には「住宅宿泊事業法」という名称があり、ホテル(旅館業)ももっと詳しく言えば「簡易宿所」「ホテル旅館」などというカテゴリーがあり、さらには「特区民泊」など、色々な法律に基づいておこなわれているものなのです。
法律は日本全国に共通するルールですが、一方で、各自治体や地域にてそれぞれの事情に応じた独自ルールが認められていることも。
それは、条例、施行細則、担当者の一存など色々とありますが、それを正しく理解することが事業計画の第一歩となります。
規制が緩いエリアと厳しいエリアの差はかなり大きく、「(無人ホテルの運営が)実質不可能じゃん!」というエリアもあれば、民泊よりも旅館業を営業するほうが簡単なエリアもあります。それぞれのルールが地域の事情を反映していて、その違いを知ることはとても興味深いものです。
なぜここまで差があるのか?
では、なぜそのようなエリアによっての差が生じるのでしょうか?
それは、法律の条文(各地での条例よりも上位)に書かれているのは、以下の2点のみだから。
①フロントを無人にしてもいいよー。
フロントの機能はICT(つまり情報通信技術、つまりタブレット等)によって代替できるならば!
②とはいえ、緊急時は10分以内に駆けつけできる体制が必須だよー。
(平易な文章に変換してます。法律の条文はもっと堅苦しいです)
それゆえ、各地方自治体の保健所は上記①②を独自に解釈し運用するのです。
①に関しては、タブレットによるビデオ通話に置き換えて許可されるケースが多いものの、エリアによっては対面での手続きを義務とする自治体もあります。
先進的なエリアの一部では「モバイルチェックイン」といって、現地にあるQRコードをスマホで読み込んで完結することを認めたりもします。
②に関しては、対象の宿泊施設と緊急駆けつけの拠点の距離を定めているケースが多く、札幌だと2.5km以内、横浜だと1.1km以内。
「実際は駆けつけ拠点に人が常駐する必要はないものの、管理人室を設けなさい」という自治体もありました。「え?それ、意味ある?」と思いましたが、現状はそんな感じです。
そろそろ変化のとき(かも)
2018年6月にフロント無人化を認める法律が施行され、日本という国がこの運用をスタートしてから4年が経過したわけです。
その間、法の趣旨を実現できているケースもあれば、それとはまったく逆の状況が生じるケースもあったりします。
が、その最前線に立つ身として思うのは、フロント無人であってもお客様の満足度は高い水準を維持していますし、無人運営が理由となるようなトラブルはありません。
そういう意味では、条文や条例をより踏み込んだ方向へ改正してもいい頃なのではないかな、と思ったりもしてます。
宿泊の現場では、コロナによって休業や廃業、人員整理を余儀なくされて労働人口不足はますます深刻化しているのですから。